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花都通信


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『中国華南近年情勢変化に対する中小企業の心構え』
吉沢英生

ここ中国華南へ日系中小企業が進出する形態として初期投資が少ない、中国法人設立不要、中国外での決算が可能等のメリットから委託加工(華南式委託加工方式)形態にての進出がより多く選択されてきました、しかしここに来て中国政府の制度の見直し等々が頻繁に行われるようになり委託加工形態のメリットが少なくなってきてる感があります。 今回この委託加工形態中心に、今後中国華南へ進出、移転等考えている日系中小企業としての心構えを記載します。

〔そもそも華南式委託加工とは・・〕

本題の前に独特の方式に基づいて行われています華南式委託加工に関して、私が理解している内容を述べさせてもらいます。
少し過去の事になりますが、香港が中国に返還される前の1980年台香港高度成長に大きく貢献した産業の一つである軽工業の製造業は人件費の高騰に対応をしていかないとコスト競争に勝ち残っていく事が非常に困難な状況に迫られ、隣接する中国広東省に製造の場を移していかざるを得ない状況になったのです。
当初中国には社会的及び制度的問題が散在していた為、自社工場を中国に構えたり製造ラインを中国へシフトしてしまったりする企業はほとんどありませんでしたが、広東省内の村や鎮という小さな地方単位が経営する郷鎮企業等の独立企業へ加工業務のみを委託する方式を行うのが一般的でした。原材料を香港から供給し加工を行ってもらい、中国側が掛かった人件費、光熱費、建物償却費(家賃)、設備償却費などを合計し計算した加工単価に、製品数をかけた物を加工費として支払う、という純然たる委託加工を行っていました。
しかし、当時の地元政府関係が運営する郷鎮企業はその生産管理方式や品質管理能力に限界があったこと、加えて使用する機械設備類等が粗悪であったことのあり、不良の山を築く結果となってしまいました。
世界市場における輸出競争力を維持すべく、中国(広東省)への委託加工を試した香港製造業でしたが、結局は郷鎮企業等の粗末な工場管理と企業体質に失望する事になり、当然代替地を他の東南アジア圏へ求めようとしました。
一方中国(広東省)側にとっては外貨を稼ぐ事のできる格好のチャンスであり、このまま香港製造業者が引き上げてしまう事を見送るわけにはいかなかったのです、ここ広東省は地理的にみても分かる通り中央政府からの集権的統治が比較的徹底されにくい地域でありました。そこで度重なる香港製造業者との交渉を行い結果、中国側から斬新的な折衷案が提示されました。

[斬新的折衷案とは]

  1. 中国側は土地、建物、関係行政許可登記、労働力提供などをするだけで、工場管理、運営など経営的には一切関与せず、実質運営を外国の製造業者に任せる。
  2. 加工賃名目で振り込まれる金額の一部だけを手数料として受領し、その他土地、建物を賃貸して毎月家賃を受け取る。
  3. 郷鎮企業は加工のみを行い全て保税扱いとし、加工後は全て外国に輸出する。

以上のような流れで、独特な華南委託加工方式が広東省中心に形成されていきました。
これは地方の村や鎮といった地方政府が利益や権益を模索した結果の産物ですが、国としても外国の資本を簡単に呼び込める、積極的に外貨獲得ができる、外国の高額設備や先進技術を国内に入れること、そして中国としての貿易を拡大する事ができる事など各種恩恵を十二分に得る事ができたといえます。
以降、華南式委託加工が香港製造業者以外の外国企業も制度を利用し広東省の発展に多大な貢献し現在まで至っております。

〔委託加工制度の変化〕

少しづつ変化してきた委託加工制度ではあったが、2006年下期からより一層変化が大きく、早くなってきており将来委託加工を含む加工貿易型自体が出来なくなるのではないかとの不安も多くでてきています。では具体的にどの様な内容が2006年以降大きく変化したかは、

  1. 輸出入禁止、制限品目制定…禁止該当品目は保証金還付率引き下げ又は無しとなり実質保税扱いで出来なくなり、制限該当品目は所定手続き後保証金を積立後に輸出入ができる。
    禁止並びに制限品目は2006年以降累計2,247になる。
    更に、該当品目がある場合、新規申請は受け付けない。
  2. 加工廠(委託加工の中国内名称)の決算義務…加工廠自体の運営に関してして税務局へ決算書として提出義務。加工廠は名目上の決算報告で済んでいたものが、加工廠収支内容の明確化を行う事により税務局の監督指導がおこなわれる。(中国法人に非常に近い存在)

上記(1)項だけでも該当品目がある企業にとっては資金難等になり経営がおのずと行き詰る結果となり兼ねない上に(2)項が実施された場合この制度を利用しこの地で操業していくメリットが非常に少なくなっていくことが予想されます。

この事に関して中国サイドは委託加工(加工貿易型企業)を取り消して行くのではなく、より高付加価値の製品を加工していく体質に改善し、更に貿易摩擦を緩和する事が最大の目的であり、委託加工(加工貿易型企業)は継続発展させて行くとしております。

共産党第十六回三中全会で『加工貿易型を引き続き発展させ、多国企業により高い製造技術と研究開発機構を中国に移転させる事に取り組み、加工貿易型の構造転換を指導する。』との方針を打ち出しております。

加えて2008年1月より施行される労働法の改定という大きな制度変更があります。

[労働法の改定]

1986年中国労働契約制度実施以来、各地方が独自の労働法を制定し各企業を取り締まっていたり、労働契約制度を取り入れていない企業があった為に地域、企業により労働者の待遇が大きく異なっていた事、企業から過酷な労働を強制され身体に影響及ぼすような事態が発生した。
この様な事を防止する目的に改定するとなっています。
新労働法の最大の特徴は、雇用側より従業員側に非常に有利になっている事です。
又、いかなる雇用主も従業員と労働契約を取り交す事を定めており、労働契約無いまま雇用した場合は雇用主に対する罰則を厳しく課す事も明文化されています。
以上のように、近年企業(特に加工貿易型企業)を取り巻く制度等の変化が著しいく、加えて忘れてならないのは為替の不安定要素(人民元変動)がある事です。
2005年7月に約2%の人民元切上げ以降緩やかな切上げが今も継続しています。

〔中小企業はどの様な心構えをしたらよい?〕

この様な変化の中で中国華南への進出、移転を行う場合少なくとも次の心構えが必要と考えます。

  1. 華南地区特有の委託加工方式は制度開始後すでに20年余りが経過し、すでに成熟期は過ぎている事を理解する。
    地元政府は、地元人材だけで今は組織されていない、このためネゴシエ―ションにはおのずと限界がある。
  2. 委託加工方式を含む加工貿易型で進出、移転を行うのであればより高付加価値商品が必要。
    労働集約型中心の加工品(単純加工品)を中国側は望んでいない。
  3. 柔軟な対応が取れる体質にする。
    制度の変化が更に実施された場合、対応出来るようにしておく。
  4. 情報は多方面からより多く集め、決断後は情報に振り回されない。
    非常に早く発展(変化)している中国(華南地域)において、進出、移転を決定した後で迷い等が出て、時間だけが経過する事に成りかねない。
  5. 有るものは利用する事も考慮する。
    全て自社で行うのでなく、変化の激しい中よりリスクを少なくする為すでに進出し操業している企業を足がかりに第一歩を踏み出す方法もあります。

2006年広東省の貿易総額は5,273億ドル中国全体の約30%を占め、うち輸出が3,020億ドル、輸入が2,253億ドルで、貿易黒字は767億ドルと全国第一位との結果もあり、色んな制度変化を含む情勢の変化はある物の、ここ華南地区はインフラ整備の充実を始め多くの企業が進出し中小企業にとっては、中国他の地域(特に中国政府が外資誘致に力を入れている西部地域や東南アジア多国)に比較し非常に進出し易く魅力がまだまだある地であると確信しています。

最後になりますが、この様な状況の時こそ精通したプロのアドバイスが必要ではないでしょうか。


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